大映文芸映画漬け

『女の勲章』(1961)

『女の勲章』1961年/大映京都
原作:山崎豊子
監督:吉村公三郎
脚本:新藤兼人
音楽:池野成
出演:京マチ子、若尾文子、叶順子、中村玉緒、田宮二郎、船越英二、内藤武敏、森雅之

あらすじ:
 小さな洋裁教室をつつましく開いていた京マチ子先生は、若尾文子叶順子中村玉緒という3人のサポートもあり、徐々に学校として大きく成長しつつあった。そこに現れ、法律や経済などの面倒な問題を一手に引き受けたのが田宮二郎。とても頼れる男だが調子の良い性格で、やたらと流暢な京都弁が鼻につく。メンバー全員の頑張りで学校の規模は関西圏でさらに拡大。京マチ子はデザイナーとしての知名度は高まり、東京進出も射程圏内となるも、急成長を遂げた学園内部では女所帯にイケメンが1人。そこにはなにか事件が起こる気配しかなかった……。

評:
 吉村公三郎監督の直接見せない演出がこれでもかと出てきて、そのたびに「お見事〜!」とため息を漏らしてしまった。田宮二郎がメインの登場人物全員に言い寄る映画なので、それはもう演出のバリエーションが豊富でなければ、ものすごく単調でつまらないものになってしまう。

 一瞬の場面なので必要以上に気に留めることはないのかもしれないが、京マチ子がフランスへ向かう旅客機の場面が見事な特撮で、綿で作った雲海と月明りの照明が実によい塩梅でした。特にクレジットはなかったはずですが、おそらく『夜の蝶』の特撮場面で吉村監督の信頼を得た築地米三郎(のちに『大怪獣ガメラ』の特撮を手掛ける)が担当をしていると思われる。

 それから、若尾文子が彼氏と(田宮二郎のせいでめっちゃ険悪な雰囲気で)道頓堀を歩く場面で、グリコのネオンの2代目が見えた。当時の写真を検索するとわかるが、2代目はランナーが目立つ電飾にはなっていない。今回も画面でハッキリと確認できたのはグリコのロゴだけだった。

 参考として、2017年にフジテレビでドラマ化されたときのキャスト一覧を載せておきます。未見ですがみなさんけっこうハマっていると思います。

女の勲章』4月15・16日放送 制作:フジテレビ
 脚本:浅野妙子/演出:西浦正記

1961年版映画 → 2017年版ドラマ
京マチ子 → 松嶋菜々子
若尾文子 → ミムラ
叶順子 → 相武紗季
中村玉緒 → 木南晴夏
田宮二郎 → 玉木宏
森雅之 → 長塚京三
船越英二 → 小澤征悦
村田知栄子 → 浅野ゆう子
滝花久子 → 江波杏子(元大映の女優をキャスティングするところがニクい!!!)

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