サブスク捜索隊

Roger Nichols 『Music for the Fun of it』

Roger Nichols Music for the fun of it

近年、スモール・サークル・オブ・フレンズの新譜や発掘音源のリリースが続いているロジャー・ニコルスのソロ名義での新作。CDはロジャー自身による自主プレス盤がごくわずかに出回っただけで即座に品切れ。たとえ配信でもリリースしてくれただけでありがたい。

内容は打ち込み主体のインスト集で、言うまでもなく60年代のサウンドとは別物なので過度な期待は禁物。とはいえ、80歳近くのご高齢にもかかわらず、メッチャ打ち込みに慣れ親しんでいることがわかる冒頭の「Happy Home」には驚かされるし、付け合わせのようにさりげなく入ったブラスのフレーズにはやはり感激。生楽器はなくとも今を生きているアーティストの想いは刻まれていると思う。

おやおや、と思ったのは「NBCスポーツ 勝者のテーマ」。打ち込みサウンドでも当時感があって、そんなにサービスしてもらって逆に悪いですよ?と思ったら、これは過去作品のリメイクらしい。アメリカの人がうらやましいですね。テレビのスポーツ番組のテーマ曲がロジャニコだったんですからね。

それから、アレンジが変わっているのですぐに気がつかなかったが「Hart to Hart」は竹内まりやのLA録音のアルバム『Miss M』に入っているHeart to Heartのリメイクだ。その後、この曲は「Now」というタイトルでカーペンターズが歌い、カレン・カーペンターの死後に発表されたりもしている。歌に歴史あり。

ほかにも、いつかどこかで聴いたような懐かしいメロディが混ざっているのは、過去作品のリメイクもあるからだろう。どれがどの曲で初出がどれか、というところまではわからないが、それもいろいろ調べたり聴き比べたりすればわかるはず。次は歌入りのアルバムもお願いいたいところですが、時間がかかるようならまたインスト盤でも喜んで聴かせていただきますのでよろしくお願いいたします。

個人的にはジャズっぽい2曲がお気に入りです。

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