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『トリュフォーそして映画』(1980)

蓮實重彦、山田宏一
『トリュフォーそして映画』
話の特集 1980年

フランソワ・トリュフォー監督が1979年に来日した際、山田・蓮實両氏とで収録した鼎談に細かい注釈をつけてまとめた本。山田氏がまとめ、本人が細かくチェックした「トリュフォー自身による経歴」も、これから5年も経たずにトリュフォーが亡くなってしまうので、結果として貴重な記録に。

その細かい文字の注釈の中にあったんですが、トリュフォーも同人として所属していたフランスの映画雑誌『カイエ・デュ・シネマ』誌で1955年11月号から掲載されていた「10人の推薦作品」という採点表の採点基準がすごく使いやすいと思ったのでここに記しておきます。

見る価値なし→●
見ても見なくてもよい→★
見る価値あり→★★
必見→★★★
傑作→★★★★

例えばFilmarksでは5.0が最高点で、あとは最低点の1.0まで0.1点刻みで評価できるわけですが、人にオススメする、という点に特化すれば、上記の採点基準がもっとも理屈に合うんじゃないかと思います。

また、この本にはトリュフォーが同誌にて選出した各年の映画ベストテンも載っていて、当時から海外の映画祭で評価されていた溝口健二監督の作品に混じって、中平康監督の『狂った果実』が入っていて、これはちょっと驚きでした。

他にも、『大人は判ってくれない』に8分間のシーンが追加された再編集版が1967年に公開されていたことや(結局トリュフォー自身がこのバージョンをその後封印したため、詳細は不明)、『終電車』が日本のフジカラーのフィルムで撮られていた(つまり東映のヤクザ映画と同じ色調という…)ことなど、「えっ、そうなの?」という話がサラッと書いてあって、発見の多い本でした。

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