『Charles K. Feldman’s CASINO ROYALE An Original Soundtrack Recording』
Music Composed and Conducted by Burt Bacharach
SLP 30
1986年ごろ
『007 カジノ・ロワイヤル』
本家の「007シリーズ」よりも先に原作の一部の権利を押さえていた別のプロデューサー(Charles K. Feldman)によって作られた番外編のサウンドトラック。
映画のほうは、超大物俳優とコメディアンと美女を揃えて延々とパロディとバカ騒ぎ。監督6人、脚本10人でまとまりがない、というかそもそもまとめる気がない大失敗作……となるところが、莫大なお金をかけてひたすら無駄なことをやらかす豪快さが逆に「古き良き60年代の贅沢さがある」と90年代に入ってから渋谷系の文脈で再評価。
バート・バカラックの音楽がなければそれも怪しいもんだという気もしますが、音楽に関しては当時から評判が良く、それはダスティ・スプリングフィールドが歌った挿入歌「The Look of Love(恋のおもかげ)」が発表から間もなく無数のカヴァーを生んだことからも証明済み。ハーブ・アルパートとティファナ・ブラスによる軽快なテーマ曲をはじめ、サントラ仕事では『明日に向って撃て!』と並ぶ、バカラックの代表作でしょう。
この「SCREEN」レーベルのLPは1986年になぜかポルトガルで再発されたもの。今でも売っているのを頻繁に見かけるので、90年代に日本に大量輸入されたのではないでしょうか。ちなみに当時の日本ではビクターから出ていたようです(原盤がモンキーズでおなじみのコルジェムスであるため)。このレーベルはほかにモーリス・ジャールが音楽を担当した『プロフェッショナル』(監督:リチャード・ブルックス/主演:バート・ランカスター)のサントラも再発しているらしいのですが、この2枚以外の情報は見当たらず。