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Burt Bacharach『Reach Out』『恋のおもかげ/バート・バカラックのすべて』

Burt Bacharach『Reach Out』
『恋のおもかげ/バート・バカラックのすべて』
AML 18

キングレコード/A&M

日本では原題通りの「リーチ・アウト」ではなく、「恋のおもかげ」が表題曲になってます。より人気のある曲のほうを前面に出していくのは日本ではよくあること。ビーチ・ボーイズのアルバム『オール・サマー・ロング』の邦題がなぜか『リトル・ホンダ/アイ・ゲット・アラウンド』になってしまうのと同じですね。いかにもどこかの写真通信社から借りてきましたという感じの写真があしらわれた日本独自の裏ジャケットもエレガントで素敵です。

解説は庄司英樹という人で、『ビートルズ神話を剥ぐ』など音楽関係の著書のある方らしいのですが、調べてみてビックリ。どうやら70年代の終わりから赤羽尭のペンネームでサスペンス小説家になったようで、直木賞候補にまでなったそう。経歴によると「週刊誌の記者を経て…」とのことで、時期的にも矛盾なし。

作品としてはA&Mレコードに移籍してからの初リーダー・アルバムにあたり、それまで様々な歌手に提供してきた曲のセルフ・リメイク集。基本は歌なしのインストですが、女声コーラスが気まぐれに歌詞の一部を歌ってくれるのが涼しげで良い感じです。特に素晴らしいのは『カジノ・ロワイヤル』のサントラに入っていた曲を再録した「Bond Street」で、サントラでは映画に準じて途中でインディアンの集団が割り込んできたり、いくつかのおバカなメロディとごちゃまぜになっていたので、曲としてはこちらのほうがまとまりがあります。

本人的に力がこもってそうだったのは「A House is not a Home」。いろんな歌手が歌ってますが、ここではバカラック本人が見た目よりも渋い声でピアノを弾き語り、まるで当時から流行り始めたシンガーソングライターのようなオーラ。そして中盤からはオーケストラとコーラスがドカンと入ってきて、それはそれは感動的な仕上がりになっていました。

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