CDinstagram

いかにもクラブ受けしそうなレア・グルーヴのビートルズ・カヴァー・コンピ『We Can Work It Out Covers & Cookies of Lennon, McCartney & The Beatles』を解読

『We Can Work It Out Covers & Cookies of Lennon, McCartney & The Beatles』
HURTCD 060
HURMLESS

 時間が空いたのでさっと入った池袋のブックオフで見つけたコンピレーション。500円。タイトルの通り、ビートルズのカヴァーを集めたものです。「Cookies」の意味はよくわかりません。裏の曲目を見てみると、知らないアーティストも多いけど、いい感じにバランスの取れた選曲。2005年頃にイギリスでCDです(LPレコードも出ている模様)。

 アース・ウィンド&ファイアの「Got to Get You Into My Life」や、アイク&ティナ・ターナーの「Come Together」スティーヴィー・ワンダーの「We Can Work It Out」セルジオ・メンデス&ブラジル‘66の「Day Tripper」、このあたりはビートルズ・カヴァーの中でもかなり有名なものですが、いずれも各アーティストの見事なアレンジによって、原曲を超えてひとつの別世界を作り出しています。ビッグなアーティストはそれだけの理由があるものですね。

 さらにラムゼイ・ルイスの「Back in the USSR」フィフス・ディメンションの「Ticket to Ride」ホセ・フェリシアーノの「She’s a Woman」ファイブ・ステアステップスの「Dear Prudence」と来ると、だんだん玄人っぽくなってまいります。思特にアル・グリーンの「I Want to Hold Your Hand」は彼のLPには未収録で、こんなのあったのか!という発見でした。

 残りのアーティストは初めて知る人たちばかりでちょっと不安もあったわけですが、ここまでの超有名〜まあまあ有名ラインの選曲が素晴らしいので、聴けば聴くほど信頼が厚くなっていくので問題なく楽しめます。選曲者のひとりであるエイドリアン・ギブソンという人はロンドンの有名なジャズ・カフェでDJをやっている人なんだそうで、なるほど納得。いかにもクラブ受けしそうなレア・グルーヴのビートルズ・カヴァーばかり。このうち、Spotifyで各曲の収録アルバムが聴けたのは、ディアドリー・ウィルソン・タバック、ハーヴェイ・アヴェニュー、ロンドン・ジャズ・フォー、ジミー・ジェームス&ザ・ヴァガボンズ。どれもアルバム単位でよかったです。

 バイロン・リー&ザ・ドラゴネアズは……どこかで聞いたような。あっ、『007/ドクター・ノオ』のオープニング・テーマ「3匹のネズミ」こと「キングストン・カリプソ」を歌っていた人だ。しかもこの人がよりにもよって、ウイングスの「Live and Let Die」をカヴァーしてるっていうんだから面白いじゃありませんか。チョコレート・ショウはdiscogsで調べたら1973年のシングル盤1枚きりしか出てこなかったジャズ・ファンクの人たち。マーシャル・ウィリアムズは「Norwegian Wood」のレゲエ・カヴァーで、ジャマイカのよくわからないコンピレーションにしか入っていないものらしい。どっから見つけてくるんだそんなもん〜。

 おまけに裏の曲目をよくご覧いただきたいんですが、このCDは2枚組で、どういうわけか違う曲順で同じ曲目が2枚目に入っています。表に貼ってあるシールをよく見ると、2枚目はマーク・マックさんという方によるノンストップ・ミックスなんですね。今の時代は、CDの曲目だけメモって、後で1曲ずつサブスクで探すというかなりケチな聴き方もできてしまうんですが、お手製のミックスが入っているというのはこのCDの大きな価値でしょう。4heroというバンドの人らしく、さっそくサブスクにあるのを聴いてみたら、なるほど音楽オタクっぽい感じ。これからこちらもじっくり聴いてみたいと思います。

 このHURMLESSというイギリスのレーベルはエルヴィル・コステロのレコードなんかも出していたデモン・ミュージック・グループの傘下で、ノーザン・ソウルのコンピレーションやらボックスやらをバカスカ出していてその界隈ではかなりの名門らしいです。ということで、ブワッと長々書いてしまいましたが、ブックオフの500円CDにしてはけっこうな拾い物でした。ピンポイントでこれを選んだ私を褒めてあげたい。

タイトルとURLをコピーしました