発売中の『昭和40年男 Vol.80』の連載特集『昭和48年/1973年 俺たちの時間旅行タイム・トラベル』にて取材・寄稿いたしました。
昭和48年=1973年の特集で、実録やくざ映画の金字塔『仁義なき戦い』について、あの杉作J太郎さんにたっぷりとお話を伺いました。昨年末の『新幹線大爆破』の記事に引き続き、東映が生んだ革命的名作の魅力に迫る記事になりました。
本文にも書いたのですが、『仁義なき戦い』の現場を知る当事者のみなさんは続々と鬼籍に入られています。菅原文太さんも、松方弘樹さんも、梅宮辰夫さんも、千葉真一さんまでも……。そんななか、杉作さんは今は亡くなられた方々も含めてたくさんの関係者にお会いしていて、そしてなにより誰よりも作品を愛しておられる方。
通りいっぺんのことを聞いても仕方がないので、ご本人の個人的な思い入れも含めて、ひたすら深いことを聞き続けました。一般的な基礎知識はあとで自分が原稿で補足すればいいのです。とはいえ『仁義なき戦い』というタイトルには『新幹線大爆破』以上にビビるものがありました。
仕事の依頼を引き受けたはいいものの、本当に自分がこれを書いていいものなのかどうかという迷い……と言うとカッコつけすぎですが、でもやっぱり責任は特に重大でしょう。進まなかった原稿がようやくまとまり始めたのはその事実にようやく気がついたから。とりあえず自分を落ち着かせる意味もあって、プレッシャーに押し潰されそうな気分を正直に書きつづりました。
杉作さんの語り口についてはもうすでにみなさまご存知かと思います。マニアックなのに、ついその沼のなかを覗いてみたくなる楽しさに満ちてるんですよね。「最初の30回目までは新しい発見があるでしょう」なんて、こんなのどう考えたって常軌を逸したフレーズなんですけど、『仁義なき戦い』にはそれほど人を狂わせる魅力があるんです。かつては映画のモデルになった実在のやくざに忖度して80年代の終わりまでビデオが出なかったというくらいの危険な映画だった『仁義なき戦い』も、今ではNetflixで小学生でも簡単に観ることができます。杉作さんも仰っていましたが、本当に恐ろしい時代が来てしまったものです。みんなで『仁義なき戦い』を観ましょう。人として生まれたからには一度は通っておきたい映画です。
あ、それから細かい話ですが自分の担当記事が表紙の見出しに入ったのはたぶん今回が初めてかもしれません。本当にありがたいお話であります。しかもお隣が川崎麻世さんに伊藤蘭さん。あぁ、なんということでしょう……😭💕
ちなみに前回の寄稿は「1982年のシティポップ・ブーム」。シティポップからやくざ映画まで、担当原稿の振れ幅がすごいことになっちゃっておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。