The Best of Bacharach『華麗なるパート・バカラックの世界』
SFX-7248
日本フォノグラム/PHILIPS
去る8月に下北沢の「Bookends Coffee Service」で行ったバート・バカラックのレコードを聴くイベントの余韻で、またまたバカラック関連盤をご紹介。こちらも日本で独自に編集した作品集で、ウォーカー・ブラザースを筆頭にフィリップス・レーベルのアーティストでまとめたもの。若干テキトーみのあるジャケットですが、バカラックが男前なので雰囲気ぞよし。
バカラック本人がプロデュースに関与した作品はないですが、A面にバカラック、B面にボブ・ディラン(!)のカヴァーを集めたアルバムまで作っているフランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズの「ウォーク・オン・バイ」など、いわゆる名唱は揃っています。
ポール・モーリアやボタン・ダウン・ブラスなどのイージーリスニング系が多いのはさすがフィリップス。知名度の低いアーティストを天下のポール・モーリアに紛れさせてるのはやはり商魂ですね。ジャック・ナサン・オーケストラは聴いたこともなかったですが、「サン・ホセへの道」は迫力ある演奏で良かったです。
ダスティ・スプリングフィールドの「恋のおもかげ」は、映画『007 カジノ・ロワイヤル』のサントラとは別テイク(サントラはコルジェムス・レーベル)。ダスティが契約の都合でフィリップス・レーベル用に歌い直したバージョンです。でも、あの印象的なアウトロがないのでちょっと物足りないかも。むしろダスティは「恋のとまどい」「偽りの土地」(ドリフターズのカヴァー)がいい感じです。ほかにもマデリーン・ベルの「世界は愛を求めている」や、ディオンヌ・ワーウィックの妹だというディー・ディー・ワーウィックの「アルフィー」はなかなか他では聴けない、このコンピならではの音源だと思いました。
スコット・ウォーカーの「世界の窓は雨に濡れて」は、ディオンヌが「世界の窓と窓」という邦題で歌っていたのと同じ「Window of the World」という曲。スコットはしっとりと歌い上げるので、重苦しい印象があったんですが、歌詞を読んで納得。これはスコットが正解でした。反戦歌です。
「Window of the World」(世界の窓は雨に濡れて) 作詞:ハル・デヴィッド(拙訳:私) 世界の窓は雨に濡れ、僕らの知ってた朝陽はどこへ 小さな子どもたちが遊び、まっすぐに、大きく育つには 晴れた日が必要だと みんな知ってるはずなのに 太陽を輝かせてほしい 世界の窓は雨に濡れ、この暗闇はいつ青空になるのだろう 男の子たちが大人になるとき、 いつお国に呼ばれるのか不安になると みんな知ってるはずなのに 太陽を輝かせてほしい 世界の窓は雨に濡れ、どんな世界がやってくるのだろう 人々が友だちになれないとき、 その争いは死を招くこともあると みんな知ってるはずなのに 太陽を輝かせてほしい 世界の窓は雨に濡れ、僕らにもできることがあるはずだ 雨が降るときは 天使が泣いているんだって みんな知ってるはずだから どれだけ泣かせ続ける気かい? 太陽を輝かせてほしい