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『Some Like It Hot』Original Music from the Motion Picture Sound Track『お熱いのがお好き オリジナル・サウンドトラック盤』

『Some Like It Hot』Original Music from the Motion Picture Sound Track
『お熱いのがお好き オリジナル・サウンドトラック盤』
GXH-6015
キングレコード/United Artists

これも1975年ごろのサントラ再発ブームの盤から。当時キングレコードからは先の007シリーズをはじめユナイト映画のサントラがドカンと20枚くらい再発していて、50~60年代の作品については入手が難しいタイトルもかなりあるので、このキングからの再発盤には相当お世話になりました。

ビリー・ワイルダー監督の『お熱いのがお好き』マリリン・モンローの代表作で、なんといっても彼女が歌う「あなたに愛されたいの(I Wanna be Loved by You)」が有名ですね。劇中、女性だけのジャズ・バンドでウクレレを弾きながら歌う姿が本当にまぶしくて、裏ジャケの連続写真を眺めているだけで映画の場面が思い出されます。表ジャケだとなんだかものすごく邪悪なウインクをしてますが、本編はもっとやわらかく美しい感じです。

解説は野口久光氏。ジャズと映画についての文章なら信頼度トップクラスの方で、楽曲の使用場面から、カヴァー元の解説までが過不足なく書かれた、映画音楽解説のお手本みたいなライナーです。

そのライナーのおかげでいろいろと勉強をするわけなんですが、マリリンが歌う3曲を含め、サントラはほぼ全曲どれも1930年代に書かれたポピュラーソングのリメイク。「Runnin’ Wild」など、スイング感満点な曲ばかりで何度でも聴きたいアルバムです。話の行き違いで失恋してしまったと思い込んだマリリンが半泣きで歌う「恋の終り(I’m through with Love)」も戦前の曲で、この映画の選曲にも携わったマティー・マルネックの作曲。戦後にペギー・リーやジュリー・ロンドン、フランキー・ライモンが歌った「Goody Goody」の作者でもあったりして(彼によるとワイルダー監督もかなりのポピュラー・マニアらしい)。デビュー前のビートルズがドイツで吹き込んだ「Sweet Georgia Brown」が本来のジャズ・アレンジで聴けたりなんかして、つながるつながる。

昔に読んだ映画の本には、女装したジャック・レモン(吹替:愛川欽也)を女性だと思い込んで求婚してしまうお金持ちのジョー・E・ブラウンの声をエノケンこと榎本健一が演じていた……という記述があって、そんなものがあるのなら死ぬまでに聞いてみたいと思っていたのですが、これはおそらく書いた人の記憶違いのような気がします。現在DVDに入っている古い音源のキャストは坊屋三郎で、どちらも戦前からのベテランコメディアンなので間違う気持ちもまぁわからんでもないです。

お熱いのがお好き [Blu-ray]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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