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バート・バカラック&ヒズ・フレンズ『ダブル・デラックス』

バート・バカラック&ヒズ・フレンズ『ダブル・デラックス』
AMW 25〜6

キングレコード/A&M

こちらも日本のキングレコードが独自に編集したバカラック作品集。バカラック本人が所属していたA&Mレコードのアーティストで固めた2枚組の豪華版。
収録アーティストは、レーベルの創始者であるハーブ・アルパート率いるティファナ・ブラスに、カーペンターズセルジオ・メンデス&ブラジル’66(途中で’77に改名)、サンドパイパーズとラインナップは超強力。いわゆるバカラック・サウンドを世界に、この日本に根付かせた、まさに功労者たちではないでしょうか。

そしてバハ・マリンバ・バンドやセルメンの弟子バンド、ボサ・リオなどに混じって、当時日本ではほとんど無名だったとされるウィ・ファイヴと、ロジャー・ニコルス&スモール・サークル・オブ・フレンズがいるところにこの盤の価値があります。彼らは渋谷系の時代に初めて発掘されたかのように語られていますが、この盤を見る限り、少なくとも一部の人間の耳にはちゃんと届いていたわけです。

表ジャケット含むバカラック本人の写真はすべて1971年の来日公演のときのものらしい。とても画になる男。解説では 末広光夫氏がアーティスト紹介を担当し、今野雄二氏はバカラック来日時の密着取材の思い出を寄稿。エピソードの貴重さもさることながら、「バート・バカラックのおもかげ」というタイトルがすでにシャレている。



ハーブ・アルパートが「This Guy’s in Love with You」に続いて歌った「To Wait for Love(愛の訪れ)」は、その直後、布施明にも贈られ、安井かずみが日本語の歌詞をつけた「今日、今、この時」として歌われている。

サンドパイパーズの「太陽をつかもう」は、映画『明日に向って撃て!』のサントラ盤に入っていた「Come Touch the Sun」のメロディを使ってハル・デヴィッドが歌詞をつけたもの。英題も「Where There’s A Heartache」と変更されている(でも邦題は原題の直訳)。この盤には入っていないが、同じ歌詞でアストラッド・ジルベルトも歌っていて、こちらもよいテイク。

タイトルが変わったり、歌詞が後からつけられたり、ひとつの曲をいろんな人が歌うだけで、いろんなことがあるんですね。

「Where There's a Heartache」
作詞:ハル・デヴィッド(訳:私)

あなたの涙で
僕らをはなればなれにさせないで
心に痛みがあるのは
そこに心があるから

涙のあとから
本当の愛も始まる
心に痛みがあるのは
そこに心があるから

いつの日も
僕の人生のすべては
君を傷つけたことへの償いで過ぎていく
そこに心があるなら
どうか戻ってきて、いつまでも恋人でいてほしい
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